【富士山~双子山・兄~】2/11 [バックカントリー]
予備の電池を買い忘れたため、電池残量の少ないGPSは復路の滑り出しまで温存していた。
故に、復路の一部のトラックです。
「死ね! 死ね! お前など死んでしまえ!」
「バックカントリーを滑りたいのだろう? 気持ちいいぜぇ~ ・・・ ヒヒヒィ・・・」
「行きたいんだろう? 逝きたいんだろう?」
悪魔が恫喝しながら招聘する。
「パウダーの無い山は、「本物の山」では無いぜぇ ・・・ 分かってるんだろう・・・ ヒヒィ」
「お遊びの夏山程度でお茶を濁しているだけで本当にいいのかよっ! ・・・ ヒヒ。」
「お前はアルパインクライマーを昔は嫌っていたよなぁ~。そのお前がせいぜいアルパイン初心者コースを夏にほっつき歩いているなんて、ププッ! お笑いだな。 プププ。」
「命懸けこそが、真の男の生き様だ! 雪山を重い板担いで登って、雪崩の巣窟に堂々とエントリー。追いかけてくる雪崩より早く滑り降りる。それこそが真の益荒男だ! って粋がってたのを若気の至りで済ますつもりかよっ! ヒヒ。」
悪魔は執拗な攻撃を止めない。
そしてトドメに ・・・
「お前、・・・ 中年にして ・・・ うじ虫以下だよ!」
w w w w w w w w w w w w w w w ・・・・・・・
プチッ!
俺は、・・・ 俺は ・・・うじ虫なんて、嫌だぁぁぁ~!!!!
「ウォォォォォォォォォォォォォ・・・・!!!!!」
ハイッ!、そして悪魔に魂を売り渡し、めでたく?ケダモノに変身しました。 (爆)
2012年 2月
とうとう、パンドラの箱を開ける時が、やって来てしまった ・・・ 。
厳冬期のバックカントリースノーボード。 これが、のら人の本当の山の原点です。
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昔々、 ・・・
バックカントリーマニアの中では結構有名なスポットを仲間とハイクアップしていた時だった。
(あくまでマニア向けなので、「かぐら」とかスキー場から隣接している場所ではありません。)
何時ものように、きっちり弱層テストをしてからハイクアップを始めた。
全員がゾンデ、ビーコン、ショベル等々は持参している。
決して雪山を舐めては、いない。
その山の中腹までハイクした時、それは突然やってきた。
雪崩だ!
見た事の無い、物凄い表層雪崩だった。
雪崩は自分達が歩いている10メートル位横を雪煙を上げながら走っていった。
こんなデカイ雪崩を間近で見たのは皆初めてだった。 幅50メートル位だっただろうか。
足が竦んだ。 怯えで誰も何も言えない、というか呆気に取られていた。
現在では、弱層テストはほとんど意味の無いテストと理解されているようだが、昔は必須だった。
その理屈も100%通用する訳では無い事を知ってはいたが、やはりショックだった。
少しだけハイクするルートがずれていたら、完全に飲み込まれていた。
そして、その日のハイクルートが10m位ずれていたのは、単に偶然に過ぎない。
決断するしか無かった。
もう真の勇者には、なれない。戻れない。 完璧に「ポキン」と心が折れた。
その後、まだやる気のある後輩にビーコンやら一式全部、譲ってしまった。
そして俺は、やめた。 もう、二度とBC(バックカントリー)には戻れない・・・。
負けた。
10年程前の、くだらない話です。 ^^;
今回は確かに、悪魔の誘惑に負けた訳だが(苦笑)、かといって雪崩の巣窟などには絶対に、行かない!
死にたくは、無い。 年を取る程、己の命が惜しくなる。 情け無い。
と、言う事で近くて比較的安全牌 ・・・ 、と言えば富士山だ。
山と高原地図上では、「二ツ塚」と掲載されているのが俗に言う「双子山・兄」である。標高1929m。
手前の「双子山」は「双子山・妹」だそうだ。 今回の目標は「兄」である。(地図上に書き込みました)
夏であれば、御殿場口新五合目まで車で入れるが、勿論冬は無理である。
手前の富士山スカイライン・太郎坊洞門近辺に駐車してから入山となる。
朝7時に出発。 凍結する林道を往く。 前を歩くBCスキーヤーとBCスノーボーダー。
彼らは、「雪が少ない。これじゃ宝永山まで行かないと滑れないかも知れない。」と道中話していた。
確かに、この一週間で結構雪が解けたようだ。
自分も双子山に雪が無ければその上を目指せば良い、と考えていた。
新五合目下辺りから見た、左が妹、右が兄。
富士本山は全く雲で見えない。
新五合目到着。 ここがスキー発祥の地だ。 ここからバックカントリーが生まれたのだ。 感動した! ^^
左上に自分の手袋が写っているのはご愛嬌。 大石茶屋にて。 この辺で小雪が舞って来た。
昨年のジャンダルム以来のセルフ撮影。 板が重そうでしょ?! ^^;
あと、スパッツでは無いですよ。 スノーボードパンツの裾は二重構造になっていて、インナーで靴の上部を包み込み、その後裾のアウター部を降ろせば良いんですがハイクアップし易くするため靴紐ユルユルなので、靴上部が太すぎて裾のアウター部が入らないため、なんともみっともない姿を晒しています。 (爆)
板の重さに負けそうになりながら、双子山を目指しテクテク歩く。
この後、徐々に雪が強く、またガスが濃くなり双子山・兄の基部に取り付く頃にはホワイトアウトになった。
全く、何も見えない ・・・ 白い世界 ・・・ 単独 ・・・ これか ・・・ この恐怖に飢えていたのだ!
これが、欲しかったのだ! これが、冬山だ! (爆)
そして、リングワンダリング(雪とガスで何も見えない山でグルグル回ってしまう事)など恥ずかしい事を一度もしたことが無い己の方向感覚に対する過剰なまでの自信を更に研ぎ澄ませて一直線に山頂を目指す。
双子山基部手前からツボ足では足抜けが悪い場所が多くなってきたので、スノーシューを装着。
と、ふと白い世界の中に幻聴を聞いた。
鳥か獣か?! 否、聞いた事の無い鳴き声だった。
黄泉の国から手招きされている様だ。
「うりゃぁぁぁぁ!」と叫び、悪霊を振り払い? ・・・
水を得た魚の様に、ガツガツ登る。 ラストスパートだ。 大汗(冷や汗)を掻いた。 ^^;
双子山・兄貴、山頂のケルン。 出発から2時間位かかった。
強風では無いが中風かな。 しかし横殴りの小雪。 耳が千切れそうに冷たくなったのでネックウォーマーを目から下に装着した。 相変わらず、何も見えない。 双子山・妹も見えない。 長居は無用だ。
寒そうでしょ! ほんと、寒かったです。 ^^;
さて、山頂近辺は溶岩が露出していて直ぐには滑り降りられない。
ツボ足で少しクライムダウンして(2回位転んだ)雪面に出た。
やっと、重い板から開放される時が、きた。
一気に滑り降りる。 溶岩の露出が再び多くなってきた所で板を外した。 やはり少し板が傷ついた。
滑った時間 ・・・ 約10分! ^^;
まぁ往々にしてバックカントリーとは、こんな物である。
5、6時間ハイクアップしても、滑る時間は30分とかで終了する。
しかし、これが楽しいのだ。 やった事がある人にしか、解からないのである。
やらない人には、永遠に理解されないだろう。
外した板を再び担ぐ気にはなれなかったので、片手に持ってテクテクと大石茶屋まで降りてくると ・・・
なんと、マウンテンバイカー?が登ってきた。
話をすると、氷の上を走る事が出来るタイヤを履いているそうだ。
やはり双子山まで行くそうだ。 スキモノが多いねぇ、冬の富士山は。 ^^
復路、一瞬青空が開けた。 奥に見えるのは双子山・妹。
そして、これも一瞬だけ ・・・ 富士本山も姿を現し、直ぐに消えた。
今回は、10年振りにバックカントリースノーボードを楽しんだ。
今回滑った「谷」もごくたまにだが大規模な雪崩が起こると言う。
「絶対に雪崩ない安全な斜面」というのは、バックカントリーには存在しない。
しかし、夏山でも冬山でもリスクは普遍的に存在する。
それでも双子山はかなり簡単な山と言える。 ホワイトアウトしても、普段山に慣れてる人であれば遭難する確率は低いと思う。
少しだけ冒険したい人は、是非どうぞ。
ピッケル無しで、アイゼンは6本爪程度でも大丈夫だと思いますよ。 (でも自己責任ね) ^^
2012-02-12 09:12
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コメント(22)
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厳冬期の富士山に登りたいと思ってますが、まだ命が惜しいので
残雪期の5月に登っています。
今まで5月に2回登っていますが、今年もまた登らされそうです。
by CARRERA (2012-02-12 18:26)
バックカントリー?ハイクアップ?
調べてしまいました。
雪崩の巣窟に堂々とエントリーとは、私の山スキーとは根性が違いますね。
困難に陥るほどパワーアップするその精神力、恐れ入りました。
颯爽と滑ってる姿も見てみたいです。
by tochimochi (2012-02-12 18:29)
のら人さん、スノボまでされるんですね!すごい行動力だわ。
しかもバックカントリー。ん~ほんと只者ではないですね。
それに雪崩の話。迫力があってしかも、本当に命が危なかった
ですね。怖い。本当に雪山はそれが怖い。滑落はほぼ自分の
過失だけど、雪崩は・・・・。避けられないですよね~。
それにしても、どんな場所でもそこを目指して自分の
楽しみ方をする人っているんですね。ほんと世の中やることが
沢山あるわ。
by ken_trekking (2012-02-13 08:37)
こんにちは。
のら人さんはスノボなんですね。私はスキーオンりーです^^
自力で登って滑る、スキーの原点ですよね。素晴らしい!
私は、基本的になるべく楽をして滑りたい派ですが(^^ゞ
若かりし頃、月山(山形の)で雪の魔力に勝てず
斜面を登って滑ったことがあります(笑)
気候がよい6月だったからできたことだとは思いますが、
今となっては懐かしい思い出となっています。
BCは楽しいですよね(^_-)-☆
by kuwachan (2012-02-13 12:42)
あまりの熱さに圧倒されました。(^_^;)
根っからの冒険家(=けもの?)なんですね(笑)。
困難になるほど燃えるタイプでしょう(笑)。
10分で下ってしまうんですね。
そのスピードが怖いです。(>_<)
by nousagi (2012-02-13 13:19)
バックカントリーもハイクアップも初めて聞く名前でした。
で、私もネットで検索してみたのですが、私などが若いころにやっていた山スキーに似たところがあるのでしょうか。
何れにしても、目の前で50m級の表層雪崩に遭遇した経験がおありとは…。
ホワイトアウトも恐怖を感じさせますが、それでも雪山に出かけてしまう。そういう魅力が雪山には有りますよね(^_^;
二時間登って十分で降りる。うーん、醍醐味です。
by 伊閣蝶 (2012-02-13 15:05)
CARRERA様
厳冬期の富士山頂を踏むのは結構「運」が必要ですね。
天候次第です。 5月に2回も登られているそうですが、5月でも山頂近辺は滑落が許されない状況でしょう。
凄いですね。 今年も富士山、頑張ってください! ^^
by のら人 (2012-02-13 19:12)
tochimochi様
調べてしまいましたか? ^^;
先輩の山スキーと同じですよ。
スノーボーダーはスタイリッシュ(唯のかっこつけ)を好むので、BC=バックカントリーを謡うのです。 自分的には充分、「山ボード」で良いと思います。
滑っている姿は、単独なので流石にセルフ撮影は出来ませんよ。(苦笑)
by のら人 (2012-02-13 19:22)
ken_trekking様
雪崩は避けられないですね、ほんと。
一般的に雪崩る多くは30~40度の斜面と言われます。
滑り屋にとっては、一番美味しい斜度なんです。
また、人や動物が雪面に負荷を掛けて雪崩の初動を起こすことが多いそうです。 富士山は、色々と出来ますよ。 是非~。 ^^
by のら人 (2012-02-13 19:43)
kuwachan様
>自力で登って滑る、スキーの原点ですよね。
さすが、kuwachanさんは良い事を、言う! その通り! ^^
自分の大学生時代は、「あたいをスキーに連れてって?」という映画が流行っていました。その時はボード流行前だったので、スキーをやってましたよ。
月山でBC ・・・  ̄∇ ̄)ニヤリッ 本物じゃないですか!? ^^
by のら人 (2012-02-13 19:52)
nousagi様
ちょっと?!過激に書き過ぎたかも知れません。
自分が横着者で鈍感なので、敏感な方の精神まで考えが及びませんでした。すいません。 ^^;
でも ・・・ 過激なのは言葉だけで、本人は至って臆病者なんですよ!(爆)
もぐらがチョロチョロ~・・・ビクビクッ! としながら歩いているんです。^^;
by のら人 (2012-02-13 20:03)
伊閣蝶様
伊閣蝶さんにまで調べさせてしまいましたかぁ? ^^;
すいません。 ズバリ! 山スキーならぬ山ボードの事です。
今回は残念ながらパウダーはありませんでしたが、やはりBCはパウダーありき!ですね。元来ボードはパウダーが得意ですが、最近ではスキーも「ファット」が出現し、パウダーで「フワリ」と浮く感覚の滑りが出来る様です。
by のら人 (2012-02-13 20:09)
さすが、持ってる山男のら人さん!
そうか、山ボードもあるのか、あるよねー^^
先週末もゲレンデで滑ってビール飲んでた私です。
のら人さんのブログで行った(逝った?)気になって楽しむことにします(寂)
by param (2012-02-14 08:02)
param様
自分もゲレンデで「ビール」やら「熱燗」やら「ウィスキー」やらのソフトドリンク???を嗜むのが通例であり、大好きです。(爆)
BCは実際結構危ないですが、自分のショボイぶろぐを見るだけでは行った気にも、天国に逝った気にもなれないでしょう。^^;
でもゲレンデ練習は大事ですよ。基本はゲレンデですね。 ^^
by のら人 (2012-02-15 20:26)
雪ですよね・・・
行きたいけど^^;
なんでもされて、またもや尊敬です
運動神経がいいのですよね^^
それにお酒もね、これは付いていけそうですよ
それにしても厳しい冬山ですね
だから魅力ですね
by ひろたん (2012-02-15 23:39)
冒険家ですね。やってみたいけど、雪崩がこわい。ホワイトアウトの怖いしーー。
by テリー (2012-02-16 00:18)
雪崩の話が恐かった〜。
ハイクアップというのは、登山コース以外を登るのですか?
登る時は、入山の記録というのはあるのですか?
いや…雪崩に巻き込まれたらどうなっちゃうのかな…と思って。
BCスキーヤーやBCボーダーも、スキー場では物足りなくなっちゃって
誰もいないところで滑りたいのですかね…。やった事のない私にとって
理解できない…世界ですねぇ〜!!
by みんこ (2012-02-16 07:56)
ひろたん様
山って、総合グラウンドみたいなもので色んな遊び方があります。
沢山の遊び方を知っていれば、楽しさは倍増ですね。
おぉ~! お酒は付いて来れそうですかぁ?
「いけるくち」ですか? ひろたんさんは。 (爆)
怪我が治ったら、色々やってみてくださいね。
by のら人 (2012-02-16 20:26)
テリー様
現場では結構、人に会いました。10人くらいです。半分以上がスキーかボードで、あとは普通の山登りの人です。富士山は雪崩も少ないですし、ホワイトアウトしたとしても、適当に降りてくれば何処かの林道に出ますからかなり安全な山だと思います。
by のら人 (2012-02-16 20:33)
みんこ様
あの時の雪崩。 本当に恐かったですよ。あの時巻き込まれず、でも近くで雪崩の迫力を体感できたおかげで、今自分は生きているのだと思ってます。
あのまま、BCに行き続けたら、必ずどこかで雪崩に巻き込まれて死んでいたと思います。 そうですねぇ~、誰もいない・・・ノートラックの雪面に自分だけのシュプールを描きたい・・・BC派は皆そう考えていると思いますよ。^^
by のら人 (2012-02-16 20:45)
お疲れ様でした。 板、スノーシューで重そうですね。
のら人さんは、本当に冒険家なんですね。
最後のダウンヒルは気持ちよかったのでは・・ !(^^)!
それにしても、冬の富士山ろくは厳しそうですね。 雪崩もある。 強風が吹いたら低温化、ふっとばされて滑落のリスクもあります。 こりゃ~ピッケルはいりますね。
by Jetstream777 (2012-02-25 11:01)
Jetstream777様
久々ですと、板は重いですね。 ^^; 自分のスノーシューは安物ですので軽いですよ。MSRの様な高い価格のものは逆に「重い」ですね。但しアイスバーンでの「効き」は良いです。 冬富士は風対策がポイントですね。
本日は、土曜日ですが天候も悪く自分も含め山に行った人は少ないでしょうね。 明日はまた少し里山ウォーキングしてこようと思ってます。
by のら人 (2012-02-25 21:23)