【大沢崩れ左岸~夏の日の3776~】6/30 [バリエーション]
本来はレポが少なからず存在する「主杖流し」を目指していた。
しかし、その「主杖」の黄ペンキが見当たらなかったため結局、最奥まで進んでから悪戦苦闘する事となった。
今回行ったルートは限りなく「A」級に近い「A-」級と言ったところだろうか。
ちなみに、A級=北鎌尾根クラス、とお考え下さい。
また、人が全くいないので(誰にも会わず)、夏の北鎌尾根なんかより「ケダモノ度?」が増します。
「もしかしたら ・・・ 死んじゃう ・・・ 死んじゃうかも ・・・」
みたいな感覚が確実に忍び寄り、あまりの恐怖で顔が引き攣り ・・・
思わず「ニヤけてしまう?」程の楽しい山行でした。 ^^;
毎回ふざけた記事を書いている様に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、一応ある一定の自分なりの客観性を踏まえたうえで、人様にはお勧めしているつもりです。
故に、今回のルートはあえて「警告」は書きませんが、「普通の登山者」を自認する方は決して踏み込むべきではありません。 宜しくお願いしますね。 ^^
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AM04:38 富士宮口五合目発
AM10:20 剣が峰 3776着
AM10:35 剣が峰 3776発
PM01:38 富士宮口五合目着
総格闘時間: 9時間
歩行距離: 12.617km
累積標高差: +1875m -1787m
(約10分のGPS電池切れ時間含まず)
夏の富士山なんて、混雑していて嫌だ!
って方は多いでしょうね。 ^^;
自分が行った6/30も翌日が山開きであるにも関わらず、結構人が沢山いた。
まぁ、7/1(本日)は悪天予報でしたからね。 皆様、前倒しされたのでしょう。
混雑だけが「嫌」なら、是非バリエーションで! 誰もいませんよ! 「富士バリ」です。 ^^
主杖流し、というバリエーションルートは結構レポが存在します。
今回の自分のルートより多分楽しく、危険も少ないと思われますよ。
五合目から上方を臨む。
6合目小屋から暫く登ると、この看板。看板とロープの奥にブルドーザー道があります。
ここから、「人の道」を外れます。 ^^;
ブル道を歩いて暫くすると、読めない標識があります。ここから御中道です。
影富士を眺めながらザレたトラバースが続きます。
主杖流しは約4km歩いた所でトラバースを終了し山頂に向かいますが、今回は不明のため約6kmもずっと左足の谷足状態が続きまして、実はこの御中道だけでかなり体力を消耗しました。
時折岩場を乗り越えていきます。
結構沢山この様にペンキが印されています。
藪(総じて易しい)の突破も数回ありますよ。
朝だけでしたが、方向的に見える高山は全て見えていました。南アルプス、八ヶ岳など。
富士宮口から登った登山者の中では相当早く山頂に着いた人だけがこの光景を見れた事でしょう。
御中道組の勝ち! と言ってもこの日は自分だけの様でしたが・・・。 ^^;
右から、荒川、赤石、聖。
塩見ですね。 次週は写真上の塩見岳左鞍部の三〇峠とその左にギリギリ見えているピークに悪天でなければ行く予定です。 塩見岳に登らないのぉ?? ハイ、遊び?ではありませんので。 ^^;
ここまでは間違っていなかった様です。
箱荒沢2の上部。 素晴らしいスラブ帯です。 もう、ここで良いか!って気になる程です。
何本ものザレタ沢をトラバースします。 気味が悪いです。
この辺のシャクナゲの開花はまだまだ先です。
この藪の突破中に正解道をロストしました。 適当に藪を進んでいきます。
明らかに、「ココだろう!」 って沢に出会いました。 多分ここが「主杖流し」だと思います。
しっかりした岩稜が発達しています。 多分正解道より少し下流に出たと思い、このスラブを上流に向けて攀じっていきます。
先週に続いてアプローチシューズを履いているので快適なスラブ歩きです。総じて2級位の連続です。
暫くすると、ペンキマークが沢の両サイドにありましたのでキョロキョロと「主杖流し」の黄ペンキ印を探しますが見当たりません。 おかしいなぁ~と思い、その正解道と思われる場所から東に少し戻ってみましたがそれらしき印も沢もなかったので、更に御中道を西へ進んでみる事にしました。
かなり西へ回り込んできたので更に展望が拡がります。最右が甲斐駒、最左が塩見。 最高です。
この辺で八ヶ岳も綺麗に見えていました。 ^^
更に西へ数回の沢、岩場、藪を突破して進んで行くと、見覚えのある圧倒的な沢が前方に立ち塞がって・・・、というより巨大な芋虫怪獣(モスラ?)が這った跡の様な巨大ルンゼが見下ろせました。
「こ ・ これ ・・・ あ ・ あれじゃん ・・・ あれ ・・・ お・お・さ・わ・く・ず・れ ? 」 (苦笑)
御中道めぐりは江戸時代位までは積極的に庶民が登っていたようですが、それでも大沢崩れだけはベテランしか進入を許されなかった様です。
現代では、あまりの崩壊の激しさに立入厳禁です。自殺したい方はどうぞ。 (苦笑)
あまりのショックで写真も撮り忘れました。 (爆)
ここで少し考えます。 さて ・・・
暫し考え意を決して、「ここから登るぞぉ!!!」 です。 ^^;
上方を見ます!
カァ~! 初めからザレザレではないですかぁ!
富士バリはこのザレとの戦いになります。 もの凄く消耗します。激藪より「大変」です。 マジで。 ^^;
可能な限りこの様な岩場を拾って登って行きます。 岩場は快適です。 1~2級の連続です。
トラックを見れば分かりますが大沢崩れ左岸から東に戻るような形で登っています。
一応なるべく岩場を探して歩いていますが、大沢崩れに圧倒されて逃げるように進んでいるのが分かる筈です。
だって、恐いんだもん! (爆)
我ながら、非常に情けないです。 ^^;
最初だけは「大沢崩れ左岸」でしたが、沢を2本(不動沢、竹沢)くらいは、逆戻りトラバースしながら登りましたので、最終的に何処の「沢」を登ったのか不明です。
影のら、です。 ^^;
急斜面のザレのトラバースは劇的に体力を消耗させ、この辺で、アミノ酸ゼリー1個飲んでます。
ちなみにゼリー以外は勿論絶食です。
最悪な事に、ほぼ西から登る羽目になったため太陽に向って登るので、眩しくて良い状態の岩場を拾いづらくなりました。 ><
ちょっと岩場を歩いて、長~い!ザレ場。 またちょっと岩場歩いて、・・・・。 苦痛の繰り返しです。
ザレ場連続のせいで、太ももが痙攣を始めました。 ウルトラマンのカラータイマーがピカリ出した?様な状態です。焦ります。 しかし、焦っては「富士の思う壺?」です。
負けません。 絶対に負けてやリません!? (誰に負けるのよ!(爆))
ここで先週のアミノ酸ゼリーの残りが1個ある事に気付き、本日2個目のゼリーを一気に飲み干しました。
休憩したいんですが、↑の様に岩場を攀じっている最中なので斜めうつ伏せ?になって休憩しました。 ^^;
えっ? 暖かい? まだ日が昇りだしたばかりです。 岩が暖かい筈がありません。 しかし、お腹がポッカポカなんです。 この日は西風が強く体が冷え切っていたので非常に助かりました。
ウ~ン、 ・・・ 閃きましたよ。 マグマ君のおかげですね ♪
「ありがとう! マグマ君 ♪」
もう直ぐそこ!?まで、やってきているんですね。 もう直ぐ生まれる?んですね!
えぇ~、そこで相談なんですが ・・・ 可能であれば、ですよ ・・・ マグマ君。
お願いだから僕が生きている内は生まれないでね。♪ (爆)
思わぬところで、富士山大爆発の息吹と出会ってしまいました! ^^
岩場だけなら快適な斜度なんですけどねぇ。
この辺から前方に高さ8メートル位はありそうな「ジャンプ台?」が視界に入ります。左右は急斜面の雪渓です。
アイゼン6爪持ってますが、ピッケルは持参してません。それに、雪渓へ突っ込めば防水性ゼロのアプローチシューズは濡れて不快になります。
そして吸い寄せられるように ・・・
いやぁ~、立派なジャンプ台だこと! ^^ 左右の雪渓に逃げる気はありません。 逃げては駄目だ!
今回の山行はまさにこの「無名のジャンプ台」に出会うために用意されたものと知りました。(ほんとかよ!)
先ずは右側に回りこみアプローチが難しい事を知り、更に左側に回りこみ真剣にルーファイします。
つらら! です。 もう夏ですよ。 ^^;
一箇所、いけそうなチムニーを発見!
取り付きますが下部の溶岩はボロボロで掴んだら確実に剥がれます。 危なすぎっ!
それでも、退路を断ち慎重に攀じりチムニー手前まで進みます。
変な溶岩の出っ張りがあり岩の間は通れません。それにかなり斜度があり一手目 ・・・ 被ってます。><
しかし、このチムニーからは岩がしっかりしています。硬いです。
これはチムニー入り口で早々とやっつけねば「命が危うい」と考え、思いっきり腕力勝負で4手でチムニー入り口上段に攀じり上がりました。 ハングっているので、3級+ はあるでしょう。
本来ならここで、「ウォォォォォ!」とケダモノらしく雄叫びをあげるところですが、今回はあまりの厳しい山行に冷静冷徹に対処させて頂きましたので、雄叫びをあげる余裕はありませんでした。 ^^;
素晴らしいジャンプ台でした。名無しでは可愛そうなので仮称「不動沢ジャンプ台」と致しましょう。 ^^
ここね、ココ! ^^
大きな岩尾根に乗れたおかげで暫くは快適な岩場歩きが出来ました。2級が続きます。
所詮2級でも、これ程長く攀じっているとヘロヘロです。 高度障害は出ませんでしたが、空気が薄いため少し登るだけで「ゼェゼェハァハァ」です。 10分歩いて5分休憩、を繰り返し安全第一で攀じります。 ^^;
高高度のため飛行機が近いです。
登っている間、観測所が見えたり見えなかったりしていましたが、かなり至近となりました。
しかし、ここから弱った肉体にトドメの「ザレ場地獄」が立ち塞がります。 痙攣する大腿筋をなだめながら休憩を多用しノロノロヘロヘロで登って行きます。 最後の観測所の手前たった3m位の所でも足が吊りそうで動けなくなり、休憩せざるを得ない状況でした。 ^^;
そして観測所の右側から回り込み ・・・
着きました。 「富士バリ のら人オリジナルルート」 踏破です! ^^
お釜です。 ^^
山頂には一般登山者が沢山いました。 のら人は人間様の様に「お鉢めぐり」などを愉しむ資格はありません。
そそくさと山頂を後にし一般道で下山を開始しました。
帰路のブル道でボーダーが登ってきた。 好きモノだねぇ。 でも、そんな人に共感しますね。 ^^;
今回は人間らしく!徹頭徹尾、自分の体力を計算しながら冷静に攀じる事を余儀なくされた山行だった。
例えば、MAX100の体力を100使い切った所で休憩して余力を20捻り出して、また20使って登って100になったらまた休憩 ・・・
ん? 足し算引き算しか使ってない? そんな計算は猿でも出来るって?!
俺は自慢じゃないが、掛け算とかは出来ないよ!
それじゃ~、結局「ケダモノ」じゃない。 (爆)
決して万人にお勧めは出来ませんが苦しくも楽しい山行でした。
あと、マグマ君 ・・・ くれぐれも、あと40年位は生まれるのを我慢してね!
富士山にまた登りたいからでは無く ・・・ キノコが採れなくなるのが困るんだよね。 ^^;
2012-07-01 12:18
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こんばんんは。
富士山の大沢崩れって、離れたところからも
崩れている様子が見えるとところですよね。
そこを登ってしまうのら人さんてやっぱり只者ではない~\(◎o◎)/!
いつもは絶食ののら人さんがゼリー飲料を栄養補給してしまう程ですから
その凄さが窺い知れます。無事にお戻りで本当に良かったです。
まっ、それを楽しんでおられた様子が文章の端々から感じられましたが^^
富士山の噴火ってやっぱり有りでしょうか?ホント我慢してもらいたいです。
by kuwachan (2012-07-01 22:36)
ごく普通に、観光登山のように
富士山に登ることだって
とても大変ですよ。
・・・言葉が見つかりませんので
この辺で。(^^ゞ
by nousagi (2012-07-01 23:39)
kuwachan様
こんばんは。
無事帰ってきました。有難うございます。
大沢崩れは、凄いですよ。 もの凄い抉れ方をしています。圧倒的です。
恐くて恐くて ・・・ でも愉しんでたりして。 (笑)
富士の噴火は、「ちょっと待った!」 ですね。 ^^;
by のら人 (2012-07-02 19:03)
nousagi様
富士山は富士宮口から登れば単純標高差は1400m無いので、最も楽に頂上に立てるルートですよ。
但し、上は空気が薄いんですけどね。 ^^;
どうしても、ちょっぴり?過激なレポになってしまい申し訳ございません。
実は、お花等でファンタジー溢れるレポを書きたかったのですが、今年は寒くて開花が遅れているらしく全然花が無かったのです。ゴメンナサイ。
by のら人 (2012-07-02 19:10)
どんどんジャンプしまくってますね ∧∧
凄すぎてコメントが出来ません。
ルートを外しても冷静に判断して新ルートを開拓するなどは、わくわくしちゃいました。
太ももが痙攣しても体力の回復を待って登り続けるのは私も経験がありますが、今は無理ですね。のら人さんの無限のパワーにも脱帽です。
by tochimochi (2012-07-02 21:51)
恐るべき山行記録に、正に手に汗握る想いで読みました。
天候に恵まれ、この時期にこれ以上無いような素晴らしい展望に恵まれたのも、のら人さんのチャレンジ精神に天が敬意を表したのでしょうか。
太ももの痙攣、私も何度か経験がありますが、「冷え」なども影響するようですね。
泣きたいほど痛くてうめいたことを思い出しました。
by 伊閣蝶 (2012-07-03 01:14)
tochimochi様
ありがとうございます。
かなり大げさに書いている部分もありますので、決して死にそうになっている訳ではないので、恐縮です。 ^^;
今回は臆病風のおかげ?で新ルートと言えるのか分かりませんが、まぁ結果的には楽しかったので、良かったです。 ^^
by のら人 (2012-07-03 20:53)
伊閣蝶様
>恐るべきとは・・・、逆に恐れ多いです。 ^^;
天気も良くて助かりました。 景色も良かったです。
大腿筋の痙攣は久々でした。
ザレ場で最近全然使ってない筋肉を多用したのが原因ですね。
この日は天気が良かったのですが風が強く寒かったので、おっしゃるとおり冷えも要因なのでしょう。 マグマ?のおかげで助かりました。 ^^
by のら人 (2012-07-03 21:01)
熱くなっている富士山をリアルに感じさせていただきました。
本当に…マグマさん…お願いです。
次々恐ろしいことが起こる日本をこれ以上困らせないで…祈。
by みんこ (2012-07-04 10:51)
みんこ様
今回の山行の自分のハートは、マグマ以上に熱くなっていたかも知れません! ^^ 自然の驚異はこの前の「震災」で皆さん分かっているでしょう。
そして、次は関東!を襲う確率が高いと既に公表されています。
それでも、皆さん普通の生活を続けています。自分も仕事があるので普通の生活を続けている「フリ?」をしていますが、いざ!という時は、直ぐにでも家族を連れて歩いて!西か北へ逃げれるように準備してあります。 ^^;
by のら人 (2012-07-04 18:49)
今回は人間らしく!徹頭徹尾、自分の体力を計算しながら冷静に攀じる事を余儀なくされた山行だった。
凄いですよね
こんなにいけたらいいわと思ってしまいます
こんどは
どんな山行なんて
ドキドキです
付いて行くのに合いません。速度がーー;
これって
憧れで
ある意味、教師ですよね
by ひろたん (2012-07-05 22:18)
ひろたん様
有難うございます。 ^^
そろそろ、来週の三連休あたりから、ひろたんさんも始動かな?
今年のアルプスはどんな顔を見せてくれるか楽しみですね。
天候にも恵まれたいですね。
by のら人 (2012-07-06 07:59)
遅ればせながら、拝見。!(^^)!
相変わらず、難しいコトチャレンジしてますね。
富士はまわりから見る山で、一番最後にのぼろうと思っていました。
噴火もあり? くしゃみする前に登っておいた方が良いかなとも思うようになりましたが・・・ (笑)
by Jetstream777 (2012-07-09 19:56)
Jetstream777様
拝見して頂けましたかぁ! (笑)
最後と言わず、何度も登ってみてください。 体力作りには「持って来い」の山です。関東から近いですしお金もかかりません。 JETさんなら普通に日帰りできるでしょう。 ^^
勿論! 噴火? もあり、ですから早めが良いですよ。^^;
by のら人 (2012-07-09 20:30)
富士山がどのような山か、よく分かりました。
大変だったでしょうが、楽しく読ませていただきました。富士山も、登山でなく「富士バリ」にしてしまうところが凄いです。
by たっち (2012-07-10 06:47)
たっち様
楽しく読んで頂けて幸いです。 ^^
今回、ほとんど花はありませんでしたが、盛夏になればシャクナゲやオダマキ、フウロ等が咲いてくれます。 バリエーションにすれば富士も静かな山登りを楽しめます。
by のら人 (2012-07-10 20:32)